2008年8月14日木曜日

記録、それはいつもはかない。

そもそもテレビを持ってないからというのもあるのですが、ことにテレビのスポーツ中継というのは見る気がしません。

どこがつまらないかというとアナウンサーや解説者が無暗矢鱈に「記録」だの「過去の対戦成績」だのを口にするところです。

YOMIURI ONLINEに「新たな怪物誕生、智弁和歌山・坂口が大会初1イニング2発」という記事がありました。曰く、

清原(オリックス)や松井秀(ヤンキース)、中田(日本ハム)ら大会史に残る強打者でも打ち立てられなかった記録。

だそうですが、記録の新奇性をもって「怪物誕生」と評してしまうのはどんなもんなんでしょう。

記事の構成からは、あたかも坂口選手の最初の本塁打が試合の流れを決定づけ、同じイニング内での自身の2本目の本塁打を導き出したかのような印象を受けます。曰く、

1点を追う八回無死一、二塁で迎えた4度目の打席。それまで無安打だったが、坂口には「ホームランが打てる」という予感があった。
駒大岩見沢のエース板木が投げた初球の直球。「ガギン」という音とともにバットから押し出されたライナー性の打球は、強力な加速を伴ってバックスクリーン左に突き刺さった。
打たれた板木は、坂口の衝撃的パワーにショックを隠せなかった。その後、野選や悪送球、死球と崩れていく。

しかし、それだけで同じイニング内に打者一巡させてしまうものでしょうか。

相手校のピッチングや守備が崩れたのには、坂口選手から浴びた1本目が1点リードからの逆点3ランだった、すなわちすでに2人の選手が出塁していたこと、また、その後も智弁和歌山の他の選手たちの好打があったこと、などの複合的な要因があったはずです。

坂口選手自身も

坂口は「たまたまです。本塁打にとらわれず、初心に戻って、次の試合も戦いたい」と淡々としていた。

と謙虚に捉えているとおり、彼自身の実力に負うのはあくまで「2打席連続ホームラン」という事象であり、それが偶然「同一イニング内」に発生したのはチーム全体の力によるものなのではないでしょうか。

それを、この記事は坂口選手の「怪物」性を際立たせるために「大会史上初の1イニング2発」とごっちゃにしてしまっているわけです。

そういうこじつけが、なんか嫌なんだよなぁと思うのです。

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