2008年8月30日土曜日

釣り穴

asahi.com「ジュリアナ、来月一夜限り復活 40代ママお立ち台へ」の2ページ目。

ジュリアナ東京 大手商社の日商岩井(当時)と英企業が共同出資して91年5月、東京・芝浦に誕生した大型ディスコ。日商岩井の社員だった大手人材会社グッドウィル・グループの折口雅博・元会長が仕掛け人として知られる。
最盛期には1日3千人が来店したが、ファッションの露出が目立ち始め、社会問題化。店側は服装を規制し、93年12月にお立ち台を撤去。客足が遠のき、94年8月に閉店した。

そもそも何かを目立たせることを露出というのに露出が目立ってどうすんだ。というのはまぁいいとして、この「ファッションの露出」というのがよくわかりません。

ファッションって、どちらかというと抽象名詞なんじゃないですかね。服の着こなし方とか。そういう抽象的な概念にすぎないのに「露出」という行為の対象になりうるのか、というのが問題点のひとつ。

それからもうひとつは、抽象ではあるけれどもそのもとになっているのは「服装」とか「化粧」とかいずれも目に見えるもの、見せるためのものであり、それをまた「露出」するというのは冗長というか単なる同義反復ではないのか、という点。

結局「ファッションの露出」というのは「露出狂的なファッション」の、意図してなのかせずになのかはわかりませんが、書きまちがいあるいは言い換えなのだろうと思われます。

あえて解釈するなら「素肌(だと思いますが、ジュリアナなんて行ったことないのでわかりません。もしかしたらもっと具体的な部位なのかもしんない)をこれ見よがしに露出した服装の客が目立ち始め、社会問題化」といったあたりでしょうか。

実は日本もイスラム文化圏だったんですねw

2008年8月14日木曜日

記録、それはいつもはかない。

そもそもテレビを持ってないからというのもあるのですが、ことにテレビのスポーツ中継というのは見る気がしません。

どこがつまらないかというとアナウンサーや解説者が無暗矢鱈に「記録」だの「過去の対戦成績」だのを口にするところです。

YOMIURI ONLINEに「新たな怪物誕生、智弁和歌山・坂口が大会初1イニング2発」という記事がありました。曰く、

清原(オリックス)や松井秀(ヤンキース)、中田(日本ハム)ら大会史に残る強打者でも打ち立てられなかった記録。

だそうですが、記録の新奇性をもって「怪物誕生」と評してしまうのはどんなもんなんでしょう。

記事の構成からは、あたかも坂口選手の最初の本塁打が試合の流れを決定づけ、同じイニング内での自身の2本目の本塁打を導き出したかのような印象を受けます。曰く、

1点を追う八回無死一、二塁で迎えた4度目の打席。それまで無安打だったが、坂口には「ホームランが打てる」という予感があった。
駒大岩見沢のエース板木が投げた初球の直球。「ガギン」という音とともにバットから押し出されたライナー性の打球は、強力な加速を伴ってバックスクリーン左に突き刺さった。
打たれた板木は、坂口の衝撃的パワーにショックを隠せなかった。その後、野選や悪送球、死球と崩れていく。

しかし、それだけで同じイニング内に打者一巡させてしまうものでしょうか。

相手校のピッチングや守備が崩れたのには、坂口選手から浴びた1本目が1点リードからの逆点3ランだった、すなわちすでに2人の選手が出塁していたこと、また、その後も智弁和歌山の他の選手たちの好打があったこと、などの複合的な要因があったはずです。

坂口選手自身も

坂口は「たまたまです。本塁打にとらわれず、初心に戻って、次の試合も戦いたい」と淡々としていた。

と謙虚に捉えているとおり、彼自身の実力に負うのはあくまで「2打席連続ホームラン」という事象であり、それが偶然「同一イニング内」に発生したのはチーム全体の力によるものなのではないでしょうか。

それを、この記事は坂口選手の「怪物」性を際立たせるために「大会史上初の1イニング2発」とごっちゃにしてしまっているわけです。

そういうこじつけが、なんか嫌なんだよなぁと思うのです。

2008年8月11日月曜日

それって何?

YOMIURI ONLINE「日テレ報道番組、大食いタレントが食べた量を「かさ上げ」」に

日本テレビ系の報道番組「NEWSリアルタイム」で今年1月23日に放送された「大食い女王対決」企画で、女性タレントが食べた量を事実より多く伝えたとして、同局は11日、報道局長ら4人を厳重注意処分にした。

とありました。もうわけがわかりません。

これは報道番組なんですか。大食い企画という時点ですでにバラエティ番組じゃないんですか。

報道局長らが処分されたということは報道局の管轄下にある番組なのかもしれませんけど。報道局の番組なら報道番組なのかもしれませんけど。

しかしどうも納得がいかない。

この手の企画にヤラセがあるのは当然だと思うので、かさ上げ自体については別に何とも思いません。

また、大食い企画などというどうでもいいような企画を通しておきながらヤラセがあったから厳重注意処分というのも、なんとも首尾一貫しない迷走ぶりが目につくばかりで失笑するくらいしかできません。

問題はむしろ、報道番組の中で大食い企画が放映される、あるいはそんな企画のある番組を報道番組と呼んで疑問にも思わない、そこにこそあるのではないかと思うのですが。

2008年7月29日火曜日

多少問題

asahi.com「「爆笑問題・太田さんを殺害」書き込み容疑で逮捕」に

杉並署などの調べでは、小沢容疑者は7月8日午後1時ごろ、自宅のノートパソコンを使い、インターネット掲示板「2ちゃんねる」で、タレントで爆笑問題の太田光さん(43)を名指しし、「包丁で刺し殺します。これは犯行予告だ」などと書き込んだ疑い。

とありますが、「タレントで爆笑問題の」というのはちょっと変じゃないですかね。

こういうのってふつう「歌手で女優の○○さん」とか「衆議院議員で軍事評論家の△△さん」とか、多少逸脱するにしても「無職で自称グラビアアイドルの××容疑者」とか、いずれにしても肩書き乃至それらしきものを併記するときの書き方だと思うんですけど。

いくらなんでも「爆笑問題」が肩書きではないでしょうし、自称「爆笑問題」なわけでもないでしょう。

また、これではまるで「爆笑問題≒太田光」であるかのようでもあり、相方の田中さんがあまりにもかわいそうです。(とか言いつつ田中さんのフルネームがわからなくてすいません)

書くのであれば「タレントでお笑いコンビ「爆笑問題」メンバーの太田光さん」ではないでしょうか。もっとも「お笑いコンビのメンバー」と書けば「タレント」であることはほぼ間違いないので、むしろ「タレントで」というのは必要なさそうですが。

2008年7月21日月曜日

どうせなら裁判官もカツラを

東京新聞(TOKYO Web)に「被告は弁護人の隣に ネクタイ着用もOK あす模擬裁判」という記事がありました。裁判員制度の導入を控え、

これまで被告は弁護人の前に刑務官らに挟まれて座らされ、拘置中は自殺や逃走防止を理由にジャージーにサンダルが一般的だが、裁判員に被告が有罪に違いないとの予断や悪印象を与えないよう改善する。

などの措置が試行されるとのことです。有識者からの

「(拘置中の)被告はジャージーを着て、みじめな形で裁かれている。法廷が人権と深くかかわっているとするならおかしい」

といった意見に後押しされて始まる措置のようです。

これはこれで正論だとは思います。ただ、

服装については、首を絞められない取り付け式のネクタイや、かかと部分はないものの、前から見ると革靴に見えるサンダルなら着用を認めることとし、それぞれ拘置所で希望する被告に貸し出す方針という。

これはどうなんでしょう。そんなイミテーションを着用して人前に出るというのも、それはそれでみじめなのではないでしょうか。

拘置中の被告に人権を認めるのであれば、自殺する権利だって認めてかまわないのではないかと思うのですが。

2008年7月19日土曜日

おしぼり貸します

asahi.comの記事「不動産開発のゼファー民事再生 負債949億円」に同社社長の記者会見内容の一部として

サブプライム問題を受けて金融機関が1月から不動産への融資を絞り出したとの認識を示し、

と書かれています。

金融機関が融資を絞り出した。ちょっとわけがわかりません。

強引に解釈しようとすれば「経済情勢としては不動産事業に資金を貸し出すメリットは薄れつつあるが、長年つきあってきた銀行側の担当者が上司を説得するなどして融資案件として成立させ、どうにかこうにか資金を捻出してきてくれた」とでもなるのでしょうか、まったく逆の意味になってしまいます。

そうではなく「融資の審査や選別が厳しくなった」という意味であり、それでも敢えて「絞り」という語を使うのにこだわるのであれば、ここは「絞り込み出した」とするのが正しいでしょう。

まさか当事者の社長がこんな言いまちがいをしたとは考えられないので報道側の書きまちがいでしょうけど、もはや1990年代によく使われた「貸し渋り」という言葉を知らない世代なんでしょうかね。

どっち向いて補遺

YOMIURI ONLINEの記事「芥川の遺志はどっち?遺書と全集収録の文面に相違あり」によれば

芥川龍之介が最期の推敲(すいこう)をした遺書の存在が明らかになったが、その遺書と岩波書店版全集に収録された文面の一部が違っていることが18日、新たに分かった

のだそうです。

本来同じであるべきことが期待される文面1と文面2との間に相違があった。これはわかりました。

が、記事の見出しが「芥川の遺志はどっち」だったのかという問いかけの形である以上、文面1と文面2とは、その相違点において二律背反の関係になくてはならないはずです。

つまり、文面1からは「AはBである」「CはDすべし」等と読みとれるのに対して、文面2からは「AはBではない」「CはDすべからず」等と読みとれる、そのことが18日になって新たにわかったのでなければいけません。

しかし、それがどこに該当するのか、記事の文面からは正直言ってわかりませんでした。

見出しと本文に相違があるというのも考えものです。単に「芥川の直筆遺書と全集収録の文面に相違あり」という見出しでよかったのではないでしょうか。

2008年7月13日日曜日

翻訳家だからってすべてのニュアンスを訳しきれるというわけじゃないんです

山口雅也=編『山口雅也の本格ミステリ・アンソロジー』(角川文庫)所収のアーサー・ポージス「イギリス寒村の謎」(風見潤=訳)。

連続殺人事件の発生した小さな村について、警部は素人探偵に向かって以下のように説明します。

人口は全部で十四人。いや、いまは十五人です。ウィロウ夫人という御婦人が三週間前に引っ越してきましたからね。誰だって村の人口を七パーセント以上増加させることができるというわけじゃないんです

最後の訳はまるでわけがわかりません。

原文は見てないので推測の域を出ませんが、直前までのセリフから考えて「14人から15人に増えたことによって、これ以降もはや誰も村の人口を7パーセント以上増やすことはできなくなった」という意味なんじゃないですかね。

(念のため書いとくと15人目のウィロウ夫人の転入で村の人口は 1÷14×100=7.14% の増加、でもその次に誰か越してくる人がいたとしてもそれによる人口増は 1÷15×100=6.67% にしかならない)

14人が15人に増えたところで、ちっぽけな村であることに変わりはない。でもそこに7%という境目を設けてみると、あたかも劇的な変化であったかのように言いあらわすことができる。そういうユーモアを意図したレトリックだと思うんですけど。

2008年7月12日土曜日

テレビなんとか

東京新聞(TOKYO Web)に「深夜の“優等生”ゴールデンでは苦戦 『くだらない』は無意味!?」という記事があり、テレビ朝日の「くりぃむナントカ」という番組について書かれています。(ちなみに「ナントカ」まで含めて正式な番組名らしいです)

記事自体はけっこう面白いのですが、以下の部分がよくわかりません。

十六日の放送では、深夜時代の人気企画「ナンバー2選手権」が復活するが、これも「芸能界は出るくいは打たれるからナンバー2を目指す」という趣旨のもと、値段や人気の二位を当てる“後ろ向き”なゲーム。

芸能界でのNo.2をめざす芸能人であれば他の業界のNo.2も当てやすいのか。あるいは他の業界のNo.2を当てることに対して意欲を燃やしやすいのか。

まぁ「ナンバー2」云々は単なるこじつけでしょうし、そのこじつけ自体もまた笑いの要素なんだろうとは思うんですけど、なまじ「という趣旨のもと、」なんていう言い回しで文章が流してあると、ついつい論理的なつながりがあるのかないのか、突っ込んでみたくなるんですよね。

そもそも出る杭は打たれるからNo.2に甘んじてる芸能人と、がんばってるんだけど力及ばずNo.1に届いてない他の業界のNo.2とでは、No.2である理由、No.2になった経緯からして全然ちがうんじゃないのか。

そういう他人の努力を自分たちの基準(出る杭は云々)に引き寄せ矮小化して解釈してみせる、そのへんの強引ぶりとか独断ぶりがこの企画のツボなんでしょうかね。見たことないからわかんないですけど。

最悪の解説

文庫解説といえば山田風太郎『甲賀忍法帖』(講談社文庫)の浅田次郎によるものは最悪です。

それによれば山田風太郎の忍法帖シリーズは読者の立場にたって書かれている。作家ではなく一読者として読みたいと思うものを書いたものである。これはまあいいでしょう。

が、その根拠として以下の2点が挙げられています。

  1. たとえば相対峙した二人の忍者の間の距離をあらわすのに「何尺何寸」とかではなく、時代小説であるにもかかわらず「何メートル」と書かれている
  2. ふつうなら漢字で書くところを平仮名で表記してある箇所が多い

これをもって「読者の立場にたって書かれている」とか「若い世代の読者も読めるように書かれている」などとしているのです。なんかもう、読者を馬鹿にしているとしか考えられません。

これとは別に日下三蔵氏による「忍法帖雑学講座」というコラムも収録されていて、こちらのほうは比較にならないほどまともな内容です。作家の解説文なんて要らない、こっちだけあれば十分じゃんと思ってしまいます。

2008年6月27日金曜日

なぜこんな間違いが

石持浅海『セリヌンティウスの舟』(光文社文庫)の杉江松恋氏による巻末解説。

石持作品には、登場人物がなぜそんな行動をしたかというHowdunitの要素に着目したものが多いが、本書はその中の白眉というべき作品だ。

おそらくうっかりミスだと思うのですが、編集者も気がつかなかったのでしょうか。

2008年6月24日火曜日

犬吠崎

YOMIURI ONLINEに「漁船転覆、パラシュート式アンカー役立たず?」という見出しの記事がありました。おそらく「やくだたず?」と読ませたいのでしょうが、どうしても最初「やくたたず」と罵っているように読めてしまいます。なぜ素直に「役立たず?」と書かなかったのでしょうか?

2008年6月21日土曜日

クラス療法

Jeffrey Richter『プログラミングMicrosoft .NET Framework 第2版』(日経BPソフトプレス)は、内容はともかくとして、誤植というか翻訳の際の漢字変換ミスが目立ちますね。

今日はDelegateやらMulticastDelegateを解説してる箇所で「クラス療法」というのに出くわし、文脈から「クラス両方」だと気づくまでに数秒かかってしまいました。

いやもう、一瞬「病んでるあなたにオブジェクト指向を」とか、そういう話なのかと本気で思ったりして。

2008年6月17日火曜日

たしかにハザード

しばらく前の角川文庫の新刊に入っていた文面が

ニンテンドーWii専用ソフト
バイオハザード アンブレラ・クロニクルズ
待望のノベライズ!

となっているのに気づいて、もう呆れはててしまいました。角川書店といえば辞書なんかも出してる出版社のはず。まぁ、もしかしたら外来語には弱いのかもしれませんが。

2008年6月15日日曜日

直通

YOMIURI ONLINEの記事「「僕は秋葉原の犯人と同じ」、歌手マネジャー脅した男逮捕」に

発表によると、坂井容疑者は11日午後、歌手の奥井亜紀さん(36)の男性マネジャー(44)のパソコンに、「江坂(大阪府吹田市)に行きます。僕は無差別殺傷事件の犯人と同じ境遇で、事件を起こす動機は十分」などと書いたメールを送った疑い。

とあります。

相手のパソコンめがけて電子メールを送るというのは、そんなに簡単にできるものなのでしょうか。

であれば情報漏洩対策などに有効活用できそうな気がします。このメールは機密性が高いので会社のパソコンでなら受信していいけど家やマンガ喫茶のパソコンでは受信しちゃいけません、みたいな場合とか。

異様か?

同じくYOMIURI ONLINEの記事「舗装道路ズタズタ、まるでクレーター…読売ヘリのルポ」より。

駒の湯温泉を離れ、南東へ5キロの荒砥沢ダム周辺へ。突然、目に飛び込んできたのは褐色の山肌。一瞬、鉱山の掘削場のようにも見えた。が、周りの緑や舗装道路が方々でずたずたに分断されている。異様だ。

最後の「異様だ」にものすごく違和感をおぼえます。

地震を起こした地球の側としてはごくあたりまえのことをしただけであり、なにも「緑や道路をずたずたに分断してやれ」などと思ってやったわけではないでしょう。

たしかに人間が苦労して整備した緑地や道路が一瞬にして破壊され、前日までとはおそらく一変しているのであろう様相を目の当たりにすれば、その理不尽さにぞっとするような思いがするにはちがいありません。

そして、これがたとえば敵対国からの空襲による被害の模様をレポートしたものだったのであれば、記事の中に「異様だ」という呟きがまぎれこんでくるのも納得がいきます。同じ人間のすることとは思えない、という驚きと憤りのニュアンスが、その呟きにはこもっています。

が、自然災害に対してこの言葉はちょっとどうなんでしょう。現場のすさまじさを伝えたいというのはわかります。でも相手は自然です。「せっかく作った道路だろうに」という無常感や徒労感、あるいは「ひょっとすると明日は自分の住む土地にも同じ運命が待ちかまえているのでは」という漠然とした不安、そうした思いに裏打ちされたコメントのほうが、よりふさわしいのではないでしょうか。

関東自動車工業

YOMIURI ONLINEの記事「地震で岩手・宮城の電機工場など停止、影響の長期化懸念も」に

トヨタ自動車の子会社で、グループの国内乗用車生産の1割近くを担う関東自動車工業の岩手工場(岩手県金ヶ崎町)は、生産ラインにつるした組み立て前の車体や、塗装ラインの装置が落下した。

とあるのですが、「グループの国内乗用車生産の1割近くを担う」が「関東自動車工業」(A)にかかるのか「関東自動車工業の岩手工場」(B)にかかるのか、非常にわかりにくいです。

地震の影響を主要産業の生産量への影響という視点から捉えようとした記事であるにもかかわらず、その影響の度合いがぼやけてしまっています。

こういう修飾節というのは「~関東自動車工業の岩手工場では車体や装置が落下した。関東自動車工業は[または「同社は」]トヨタ自動車の子会社としてトヨタグループに属し、[ここで(A)なら主語は繰り返しになるので特には不要、逆に(B)なら「その岩手工場は」と続けて]グループの国内乗用車生産の1割を担っている」とでもいうふうに分けて書けないもんでしょうかね。

2008年6月9日月曜日

コスプレイヤーは戦わない

asahi.com、6/8(日) 18:30付の記事「秋葉原で無差別殺傷 死亡7人、けが10人に」の最後に事件発生現場の背景として

最近はアニメの登場人物の服装を着た人や、ストリートミュージシャンの演奏などを目当てに、大勢の若者が集まっている。

とありますが、それどころではないんでしょうけど「服装を着た」というのはもうなんだかなぁという気がします。

昔「~という話をしていた」という意味で「~という話題をしていた」と書かれているのを頻繁に見る機会があって、これも気持ち悪かったのを思い出しました。

事件については「誰でもいいから殺したかったのなら、なぜ自分の住んでいるところの近所の人とか自分の家族や親戚といった手近な対象を選ばなかったのだろう」というのが最大の疑問です。一方で「誰でもいい」というのがありつつ他方で「どうせ殺すなら殺してもいいような人間を」というのが犯人の頭の中にあり、その「殺してもいいような人間」のカテゴリに相当するものが「秋葉原の歩行者天国にいるような連中」だったということなのでしょうか。

2008年5月28日水曜日

一面

フジニュースネットワークの動画ニュース「東京・江東区マンション女性行方不明事件 容疑者宅のリビングから女性の血痕を検出」で、まずはニュースの内容よりもそれを読み上げる男性キャスターの、どう考えてもアナウンサーより時代劇とか吹き替えのほうが向いてそうなクセありまくりの喋りかたに驚いてしまいました。

キャスターとアナウンサーは別物という扱いで発声や発音は不問に付されてるんでしょうかね。そういやフジテレビは木村太郎のころも聞きづらかったな。まぁそれはいいとして。

星島容疑者は、小学校時代の卒業アルバムで「ファミコンのカセット会社を作る」と、夢を思い描いていた。/一方、「世界が破滅するとしたら」というアンケートの中で、「破滅する前に死ぬ」と答える一面もあった。

とのことなんですけど、この「破滅する前に死ぬ」に対して「と答える一面も」と続けてしまう安直さはちょっといただけません。こんなわずか8文字の回答からどんな「面」を想像しろというのでしょうか。

残虐な殺人事件の容疑者。前兆はなかったのか。そこで卒業文集を入手した。夢を思い描いている(ように見える)。これでは単なる素直な小学生だ。他にはないのか。「世界が破滅するとしたら」という質問に「破滅する前に死ぬ」と答えている。これは厭世的だ。反社会的だ。これぞ今回の事件の遠く過去に遡る前兆。

そんなふうに、報道側が思わず飛びついてしまったような感じがあります。

しかしこの回答って単に「オレが生きてるうちに世界が破滅するようなことはない」という意味で書いたとも解釈できるんじゃないですかね。「世界が破滅するとしたら」というお題のぎこちなさもいかにも小6という感じですが、それに対して「その設問じたい意味がない」と答えるような斜に構えた心性は小6・12歳あたりには非常にありがちだと思うのですが。

2008年5月27日火曜日

さいたま

NIKKEI NETの記事「埼玉りそな銀、13万3000件の顧客情報紛失」によれば

埼玉りそな銀行は27日、106支店で名前や住所、口座番号などを記載した預金印鑑届や、ATMでの取引情報記録紙など約13万3000件の顧客情報を紛失したと発表した。

13万件というのも多いと思いますが、それより106支店というのが目を惹きます。埼玉りそな銀行ってそんなにあったのか!?

そこでとりあえずりそなグループ:店舗・ATMの検索にて関東地方のみ調べてみました。

検索条件検索結果
銀行都道府県サービス
埼玉りそな銀行茨城県有人店舗「検索に失敗しました」
埼玉りそな銀行栃木県有人店舗「検索に失敗しました」
埼玉りそな銀行群馬県有人店舗「検索に失敗しました」
埼玉りそな銀行埼玉県有人店舗126件
埼玉りそな銀行千葉県有人店舗「検索に失敗しました」
埼玉りそな銀行東京都有人店舗2件
埼玉りそな銀行神奈川県有人店舗「検索に失敗しました」

やたら検索に失敗しているようですが、その場合には「理由」として「該当する掲載情報がありませんでした」とあるので検索結果としては0件と考えていいようです。(なんだそれ)

ということは関東地方だけでも128店舗。意外とありましたね。これで全部なのかもしれませんが。そうなると8割以上の支店で顧客情報を紛失していることになります。これはこれで怖い。

2008年5月24日土曜日

イナリサーチ

NIKKEI NETの新規上場企業「株式会社イナリサーチ」の詳細データでURLが

http://ina.-research.co.jp/

となっているためウェブサイトにつながりません。(正しくは http://www.ina-research.co.jp/ でした)

そのサイトの中の「動物愛護・AAALAC」というページに

非臨床試験は、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、サル等の実験での使用を目的として生産された動物を使用しております。

とあるのが、そこはかとなくドラマチックな印象を醸し出しています。

業務内容に「脱臭装置」が含まれているのでトイレでおなじみの伊奈製陶のINAXの関連会社なのかなとも思いましたが、特に関係はないみたいですね。

伊奈製陶
ウィキペディアによれば創業者の苗字が伊奈
イナリサーチ
創業の地が長野県伊奈市

2008年5月22日木曜日

定価380円なら5000部に相当

YOMIURI ONLINEに「植草被告の「アサヒ芸能」痴漢報道、徳間書店に190万賠償命令」という記事。アサヒ芸能って名前だけはよく聞きますが徳間書店から発行されていたとは知りませんでした。

朝日新聞社ではないだろうとは思ってたけど、てっきり「アサヒ芸能社」とかそんなような名前の出版社が出してるものとばかり。

キロあたり49,875円

asahi.comの記事「5万円台ノートPC HPが日本販売」に

サイズは幅25センチ、奥行き16センチ、重さ約1.2キロとシステム手帳並みで、画面の大きさは8.9型。

とあるんですけど、システム手帳ってそんなに重いのか!?

HPのサイトによればCPUはVIAのC7だそうで、使い心地は見てみたいですけどね。

2008年5月21日水曜日

ガチャガチャ飲むなよ

asahi.comの社会記事の見出し「ガチャガチャ飲み窒息 バンダイに2600万円賠償命令」にはかなり違和感をおぼえます。

「ガチャガチャ」というのは文字どおりハンドルをガチャガチャやると食玩みたいなおもちゃの入った丸いカプセルの出てくる機械のことを指すんじゃないでしょうか。そんなでかいもん飲めるか!!

まぁ記事を読めば2歳の幼児がその丸いカプセルを飲み込んでしまったのだとわかるわけですが、それなら「玩具入りカプセル飲み窒息」のほうがより正確なんじゃないかと思います。もっともカプセルを飲み込んだのはおもちゃを取り出した後だったかもしれないので厳密には「玩具入り」が正確なのかどうかはわかりませんが。

「玩具入りカプセル」だと「ガチャガチャ」より文字数が多くてスペースとりますけど、そんなの「2600万円」を「2600万円」に変えればすむことじゃん。(と、最後は投げやり)

2008年5月14日水曜日

小誘拐

うさんくさい事件です。

たとえばYOMIURI ONLINEの記事「児童データ入りUSB紛失「400万円で返す」と脅迫文」によれば

東京都国立市立第二小学校の40歳代の男性教諭が、今春卒業した児童の成績などが入ったUSBメモリー(パソコン用外部記憶媒体)を紛失し、メモリーと引き換えに現金400万円を要求する脅迫文が市教委に届いていたことが12日、わかった。

また、asahi.comの記事「児童データUSBを学校紛失 「400万円で買え」手紙」によれば

同市教委あてに今月2日、「USBメモリーを拾った」と記された差出人や住所がない手紙が届き、成績データの一部を印刷した紙が同封されていた。
メモリーから記録を見るには学校で割り当てたパスワードが必要だが、市教委が同校に確認したところ原本の内容と一致した。

これらの記事から判断すると、脅迫者はUSBメモリ内のデータを見るためのパスワードを事前に知っていたか何らかの方法で突き止めたのでしょうが、だからといって「ホラ、私にはパスワードがわかってるんですよ」「ホラ、まちがいなくおたくの卒業生のデータでしょ」と言ってくるというのはどうにも変だなぁと思います。

パスワードが知られてしまっているということは、そのUSBメモリから紙のコピーなり電子データなりでいくらでも児童の個人情報がばら撒けるということであり、それは学校なり教育委員会なりが400万円でUSBメモリを買い戻したところでもはや防ぎようがありません。喩えはよくありませんが「おたくのお子さんを誘拐しました。実はもう殺しちゃったんだけど身代金ください」と言ってるのと同じなのではないでしょうか。

もちろん犯人としては「400万円で買い取ってもらえるなら情報をばら撒くようなことはしない」という含みもあるんでしょうが、警察側だって「そんなこと言って、ほんとはもう殺してるんだろう」と粘ってこないとはかぎらない。そういう選択肢を与えてしまうというのは犯罪計画としてどうなんでしょう。むしろ「パスワードがかかってるので中身はわからないけど、たぶんおたくにとっては大事なデータなんですよね」と持ちかけたほうが有効なんじゃないかと思うんですけど。

どうもこの脅迫者は「パスワードを知っている」または「パスワードを突き止めた」ということを誇示するのに気をとられて墓穴を掘っているような気がします。

2008年5月13日火曜日

一番

これもよくわかりません。asahi.comの「家族物語」というコラムの「愛二十歳、巣立ちの年 卓球・福原愛さん - 家族物語 - 北京五輪への道」という記事の一節。

兄が卓球を始めたとき、父武彦(65)は「やるからには一番をめざせ。東北大会なら最低8強だ」と宣言した。

「一番」の必要条件なら「少なくとも東北大会で優勝」じゃないかと思うんですけど?

まぁ、何を基準に一番なのかにもよるだろうし、一番をめざす過程の1ステップとして「1年目の東北大会ではベスト8に」という意味だったのかもしれないですけどね。

「やるからには一番をめざせ。まずは東北大会でベスト8だ」とか入れてくれると、わかりやすいんじゃないかと思います。

2008年5月7日水曜日

WindowsXP SP3

Microsoft Updateで

コンピュータを保護するために、Windows XP Service Pack 3 をインストールすることを強くお勧めします。

と出てきましたが、

  • SP3 の新機能
  • 「インストールする前の注意事項」
  • 「詳細」クリックで出てくるダイアログの中の「詳細」

のリンク先(またはそこからのリダイレクト先)が、いずれも「Windows XP Service Pack 3 Release Candidate のリリース ノート」(最終更新日 : 2008年1月10日)になっていて、なーんかヤなんですけど。

とりあえず様子見ですかね。

CSR?

YOMIURI ONLINEの記事「不審者情報も、夜は近所の人も怖がる…愛知の高1殺害現場」曰く

同市生駒町の遺体発見現場付近は、伊勢湾岸自動車道の高架橋が通り、田畑が広がっている。民家は少なく街灯もない。

同市というのは愛知県豊田市なわけですが、トヨタ自動車も街灯ぐらい作ってやらんかいと思うのは私だけでしょうか?

2008年5月6日火曜日

謎のイメージ写真

国土交通省の記者発表「ダム管理システムの一部情報の納入業者((株)東芝)からの流出について」に「参考資料2」として「ダム管理システムと流出した情報」というPDF文書が添付されています。内容は以下のような構成になっています。

  • 1 ダム管理システムとは
  • 2. 流出した情報
    • (1)ダム管理システムの情報
    • (2)その他の情報

そして最後に「ダム管理システム全景」というイメージ写真が載っているのですが、この写真の意図がよくわかりません。

どこかのサーバルームを撮影したもののようです。6台ほどのラック(「ダム管理システム本体」)と3人掛けの端末席(「操作卓・情報表示板」)が写っています。人の姿はありません。

上記2.の(2)の「その他の情報」の真下に、特に間隔もあけず中央寄せでレイアウトされた写真ですが、その内容や「システム全景」というキャプションからして「その他の情報」の記述を補足するためのものではなさそうです。操作卓の上に機密書類が無造作に放置されているような様子もうかがえません。

位置は離れていますが、むしろ1.の「ダム管理システムとは」に対応するコンテンツなのだろうと思われます。ただし「写真はイメージです」とあります。この写真が実際の運用現場というわけではなく、当該システムをイメージしてもらうために現場に似た部屋を見つけてきて撮影したものなのかもしれません。

問題は、どこが似ているのか、何をイメージしてもらうための写真なのか、ということなんです。これがどうにもわからない。

機器の台数や配置をもとに、システムの規模や構成を知ってもらいたいのか。室内の整理整頓ぶりから、情報漏洩の再発はなさそうだと安心してもらいたいのか。それとも「いきなりダム管理システムなんて言われても一般の人にはイメージつかないよ」ということで写真を載せただけなのか。

上記2.の(1)によれば、ダム管理システムは「インターネット等外部からは切り離されている」らしいです。一方、今回の情報流出は、委託先サーバからインターネットを通じて、という経路で発生したそうです。ということは、ダム管理システムと委託先サーバは別物であり、委託先サーバだけに問題があったように解釈できます。にもかかわらず、わざわざ写真で晒されてるのは「ダム管理システム全景」のほう。

どうにも費用(リスクも含めて)対効果がはっきりしないコンテンツだなぁと思いました。(もしかして ダム管理システム + 委託先サーバ = ダム管理システム全景 だったりするのか?)

Google カレンダー

Google カレンダーで予定を作成したときの完了メッセージが謎です。「○○という予定何月何日 が追加されました」というのは、どう考えてもおかしい。Google カレンダー 予定の作成 日本語

そこで「設定」で「言語」を「English(US)」にして試してみました。こっちだとちゃんと「○○という予定何月何日 に追加した」という意味のメッセージになってますね。Google カレンダー 予定の作成 英語

駄目じゃんGoogle。BETA だから?

一人称

ZDNet Japanに「マイクロソフトのYahoo買収断念は賢明な判断」という翻訳記事があって、内容には特に異論はないのですが、文中2度しか使われていない一人称が

前半では

筆者はどうかって?これはMicrosoftが成しうる最も賢明な動きであったとみている。

後半では

最初からずっと、小生をはじめとする多くのMicrosoftウォッチャーが、MicrosoftとYahooの間には重複する点が多すぎると指摘していた。

となっていて、なぜわざわざ使い分けてるのだろうと疑問に思いました。

これが日本人の日常会話や、あるいは会話じゃなくても小説や芝居の登場人物のセリフとかエンタテインメントとしてのエッセイやコラムの中であれば、文脈に応じて一人称がコロコロ切り替わってもおかしくはないと思います。

が、報道や論評においてそれはどうなのか。しかもよく見るとこの記事の原文執筆者は Mary Jo Foley という名前になっていて、どうやら女性のようです。女性の一人称として「小生」というのも、ちょっとどうなんでしょう。

どうにも落ち着かないので原文にあたってみました。

前半の「筆者はどうかって?」を含む一節は

Me? I see this as the smartest thing Microsoft could do.

そして後半の「小生をはじめとする」を含む一節は

All along, many Microsoft watchers, including yours truly, have noted that there was an awful lot of overlap between Microsoft and Yahoo.

となっています。

Google 翻訳によれば「including yours truly」は「小生を含む」の意。なるほどここでの yours は手紙なんかで使われる Sincerely yours の yours と同じなわけですね。

そのまま書くとエラソーに見えてしまうので、ちょっとオブラートに包んで表現してる感じ。「もちろん読者の皆さんも同じでしょうが、実はわたくしも~」みたいな。

だからっつってモロ「小生」じゃ、なんかぎこちなくないですかね。記事の文脈で言えば「~と、多くのウォッチャーが指摘していましたし、誠に僭越ながら筆者もそう指摘してきました」といったあたりが妥当なのではないでしょうか?

2008年5月3日土曜日

PDFでプチ驚愕二連発

NIKKEI NETの適時開示速報から株式会社アーティストハウスホールディングスの「一部インターネット情報サイトの掲載記事について」を開いてみてちょっとびっくり。

  1. PDF内の文章が傾いてる。まぁワープロソフトかなんかで作成した紙をスキャナで取り込んでPDFにしてるんでしょうけど。右下がりに傾いてるというのがまたなんとも……
  2. PDFのURLの中に /home/oracle/ というパスが。これはアーティストハウスに限らず他のどの会社からの発表であってもおそらく同じ。なのでNIKKEI NET側の問題。まぁ即問題というわけじゃないだろうけど「大丈夫なのかなぁ」という感じはします。今まで気がつかなかった。

2008年5月1日木曜日

50倍

やられました。YOMIURI ONLINEの記事「1等100万円の当選確率50倍、19日に新宝くじ発売」です。パッと見「50人に1人は100万円!」と思ったのは私だけでしょうか?

有効求人倍率1.○倍とか、なんたら国家試験の競争倍率10何倍とか、そういうのを連想してしまいましたよ。たしかによく見りゃ「倍率」じゃなくて「確率」ですけどね。

記事に曰く

1枚300円で3000万枚の販売を見込んでおり、1等100万円は3000本。昨年のドリームジャンボ宝くじの4等100万円に比べ、当選確率は50倍という。

なら最初からそう言ってくれないと。「今までに比べて50倍」とか「当社比」とか。なんの比較対象もなく50倍じゃ、倍率50倍かと思っちゃいますよ。

50人に1人どころか10,000人に1人ですか。微妙。

2008年4月25日金曜日

おざなりvsなおざり

これまたびっくりしました。YOMIURI ONLINEの「米大統領選 おざなりにされる政策論争(4月24日付・読売社説)」です。曰く

指名に必要な代議員の争奪戦が過熱するに連れ、政策論争はほとんど棚上げされ、中傷合戦がエスカレートしている。

また

民主党に物足りないのは、外交・安全保障政策で十分な説明がないことだ。指名争いが終われば、共和党との本格的な政策論争が待っている。

つまり「民主党の両候補は中傷合戦ばかりで政策論争などろくすっぽやっていない」という趣旨のようです。が、それであれば見出しの「おざなり」は本来「なおざり」であるべきなのではないでしょうか。

検索してみたところ、goo辞書には

おざなり その場逃れにいいかげんな言動をする・こと(さま)。
なおざり (1)真剣でないこと。いいかげんにして、放っておくこと。また、そのさま。
((2)は省略)

とあります。

もしオバマ対クリントンの政策論争が「おざなり」なのだとしたら、仮にそれが実は単なるポーズとか時間かせぎとか何かのカムフラージュにすぎないものであったとしたにせよ、まがりなりにも政策論争が現におこなわれていることになってしまいます。

また、そうした「おざなり」な営為、外面をとりつくろうような作業が、その執務のほとんどを占めているような政治家というのも、決して少なくはないでしょう。

が、この社説によれば、今のところ両候補は中傷合戦に専念しているようです。ということは、そこには真剣な政策論争もないのでしょうが、その代わり「おざなり」な政策論争といったものもありえません。

中傷合戦にかまけて政策論争がおこなわれていない、このことを指すには「政策論争がなおざりにされている」というのが正しいはずです。いざ中傷合戦に決着がつき政策論争が始まったとき、ではその論争が真剣なものになるのか「おざなり」にすぎないものになるのか、それはまた別の次元の問題でしょう。

2008年4月17日木曜日

よくあるよくない日本語の典型

NIKKEI NETのとあるコラムの見出し「好ましくない弱い金融機関の延命」というのが気になったので、いくつかの検索サイトの翻訳ツールで

  1. この見出しを日本語から英語に翻訳
  2. 上の結果を同じツールで日本語に翻訳

してみました。

英語翻訳 - エキサイト 翻訳
原文 好ましくない弱い金融機関の延命
日→英 Life prolongment of undesirable, weak financial institution
英→日 望ましくなくて、弱い金融機関の人生長期化
Yahoo!翻訳 - テキスト翻訳
原文 好ましくない弱い金融機関の延命
日→英 The prolongation of human life of an unfavorable weak financial institution
英→日 好ましからぬ弱い金融機関の人の生命の延長

まあ、ふつうこうなってもおかしくはないと思うんですわ。

ところがGoogleではなんと。

Google 翻訳
原文 好ましくない弱い金融機関の延命
日→英 Weak financial institutions unwanted life-sustaining
英→日 弱い金融機関の不要な延命

「金融機関」にかかるのは「弱い」だけであり、「好ましくない」は「弱い金融機関の延命」全体に(したがって最終的には「延命」に)かかっている、ということまでちゃんと解析されている。

Googleすげー。っていうか、むしろ過保護です。

2008年4月11日金曜日

ボイラープレート

Distinctive Features Of SQLite」によればSQLiteの特長のひとつとして「Readable source code」つまりソースコードが読みやすく書かれてあって関数や変数に対するコメントも役に立つ内容のものになっているということがあるそうですが、その最後に

Boilerplate commenting is omitted.

とあり、この"boilerplate"というのがわからなかったので辞書をひきました。

ボイラーという響きから、グツグツ煮えたぎった感じ、グダグダ長々と書いてあるけど何が言いたいんだか結局わからないようなコメント。そんな予想をしてたんですが。

最初にためしたgoo 辞書の英和辞典ではひっかからず。

次にYahoo!辞書で"boilerplate"を検索したところ「画一的な言葉」と出てきました。なるほど。

たしかに

/**
 * hogeNameを取得する。
 * @retrun hogeName
 */
public String getHogeName()
{
    return this.hogeName;
}
とかって(まぁSQLiteはJavaじゃないけど)無茶苦茶ありがちですな。いわば同義反復の嵐。

で、SQLiteのソースコードではそういうおざなりなコメントはバッサリ斬り捨ててありますよと。

2008年4月10日木曜日

誤訳 in 『Java 暗号化アーキテクチャー (JCA)』

「コアクラスとインタフェース」の3段落目。

この項では、各クラスおよびインタフェースのメインメソッドの署名を示します。

英語版の該当箇所は

This section shows the signatures of the main methods in each class and interface.

たしかに電子署名などを実現するためのJavaでのしくみを解説した文書ではありますが、"signature"ならなんでもかんでも「署名」としてしまえばいいというもんでもないでしょう。機械的翻訳の弊害でしょうか?

誤訳 in 『Java SE 6 用 JSSE リファレンスガイド』

「Secure Sockets Layer (SSL) プロトコルの概要」→「SSLのしくみ」→「暗号化処理」→「公開鍵暗号方式」の4段落目。

公開鍵暗号方式は、データの暗号化と復号化に同じ鍵を使用するので、非対称暗号化方式とも呼ばれます。

英語版の該当箇所は

Public key cryptography is also called asymmetric cryptography because different keys are used to encrypt and decrypt the data.

まるで逆です。1つ上の「秘密鍵暗号方式」の同じく第4段落をコピペしてきて直し忘れたまま提出されてしまったのでしょうか?