2008年7月12日土曜日

最悪の解説

文庫解説といえば山田風太郎『甲賀忍法帖』(講談社文庫)の浅田次郎によるものは最悪です。

それによれば山田風太郎の忍法帖シリーズは読者の立場にたって書かれている。作家ではなく一読者として読みたいと思うものを書いたものである。これはまあいいでしょう。

が、その根拠として以下の2点が挙げられています。

  1. たとえば相対峙した二人の忍者の間の距離をあらわすのに「何尺何寸」とかではなく、時代小説であるにもかかわらず「何メートル」と書かれている
  2. ふつうなら漢字で書くところを平仮名で表記してある箇所が多い

これをもって「読者の立場にたって書かれている」とか「若い世代の読者も読めるように書かれている」などとしているのです。なんかもう、読者を馬鹿にしているとしか考えられません。

これとは別に日下三蔵氏による「忍法帖雑学講座」というコラムも収録されていて、こちらのほうは比較にならないほどまともな内容です。作家の解説文なんて要らない、こっちだけあれば十分じゃんと思ってしまいます。

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