2008年6月15日日曜日

異様か?

同じくYOMIURI ONLINEの記事「舗装道路ズタズタ、まるでクレーター…読売ヘリのルポ」より。

駒の湯温泉を離れ、南東へ5キロの荒砥沢ダム周辺へ。突然、目に飛び込んできたのは褐色の山肌。一瞬、鉱山の掘削場のようにも見えた。が、周りの緑や舗装道路が方々でずたずたに分断されている。異様だ。

最後の「異様だ」にものすごく違和感をおぼえます。

地震を起こした地球の側としてはごくあたりまえのことをしただけであり、なにも「緑や道路をずたずたに分断してやれ」などと思ってやったわけではないでしょう。

たしかに人間が苦労して整備した緑地や道路が一瞬にして破壊され、前日までとはおそらく一変しているのであろう様相を目の当たりにすれば、その理不尽さにぞっとするような思いがするにはちがいありません。

そして、これがたとえば敵対国からの空襲による被害の模様をレポートしたものだったのであれば、記事の中に「異様だ」という呟きがまぎれこんでくるのも納得がいきます。同じ人間のすることとは思えない、という驚きと憤りのニュアンスが、その呟きにはこもっています。

が、自然災害に対してこの言葉はちょっとどうなんでしょう。現場のすさまじさを伝えたいというのはわかります。でも相手は自然です。「せっかく作った道路だろうに」という無常感や徒労感、あるいは「ひょっとすると明日は自分の住む土地にも同じ運命が待ちかまえているのでは」という漠然とした不安、そうした思いに裏打ちされたコメントのほうが、よりふさわしいのではないでしょうか。

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