2008年5月14日水曜日

小誘拐

うさんくさい事件です。

たとえばYOMIURI ONLINEの記事「児童データ入りUSB紛失「400万円で返す」と脅迫文」によれば

東京都国立市立第二小学校の40歳代の男性教諭が、今春卒業した児童の成績などが入ったUSBメモリー(パソコン用外部記憶媒体)を紛失し、メモリーと引き換えに現金400万円を要求する脅迫文が市教委に届いていたことが12日、わかった。

また、asahi.comの記事「児童データUSBを学校紛失 「400万円で買え」手紙」によれば

同市教委あてに今月2日、「USBメモリーを拾った」と記された差出人や住所がない手紙が届き、成績データの一部を印刷した紙が同封されていた。
メモリーから記録を見るには学校で割り当てたパスワードが必要だが、市教委が同校に確認したところ原本の内容と一致した。

これらの記事から判断すると、脅迫者はUSBメモリ内のデータを見るためのパスワードを事前に知っていたか何らかの方法で突き止めたのでしょうが、だからといって「ホラ、私にはパスワードがわかってるんですよ」「ホラ、まちがいなくおたくの卒業生のデータでしょ」と言ってくるというのはどうにも変だなぁと思います。

パスワードが知られてしまっているということは、そのUSBメモリから紙のコピーなり電子データなりでいくらでも児童の個人情報がばら撒けるということであり、それは学校なり教育委員会なりが400万円でUSBメモリを買い戻したところでもはや防ぎようがありません。喩えはよくありませんが「おたくのお子さんを誘拐しました。実はもう殺しちゃったんだけど身代金ください」と言ってるのと同じなのではないでしょうか。

もちろん犯人としては「400万円で買い取ってもらえるなら情報をばら撒くようなことはしない」という含みもあるんでしょうが、警察側だって「そんなこと言って、ほんとはもう殺してるんだろう」と粘ってこないとはかぎらない。そういう選択肢を与えてしまうというのは犯罪計画としてどうなんでしょう。むしろ「パスワードがかかってるので中身はわからないけど、たぶんおたくにとっては大事なデータなんですよね」と持ちかけたほうが有効なんじゃないかと思うんですけど。

どうもこの脅迫者は「パスワードを知っている」または「パスワードを突き止めた」ということを誇示するのに気をとられて墓穴を掘っているような気がします。

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